新田ひらく|オザーナリズム BLOG

おざなりな文章 若きジャーナリズムを掲げて、政治からサブカルチャーまで批評していきます。

原発=“時限爆弾”を世界中にばら撒く確信犯・安倍晋三

安部政権のゴールデンウィーク外遊


それはつまり、
世界を放射能に包む布石の旅である。


トルコ、サウジアラビア、UAE、モンゴル、ベトナム、とアジア全域に原子力分野での協力・推進を日本政府は押し進めている。

この動きは、マスメディアにおいてはあまり強調されずに、あるいは、経済成長の名の下にそれを正当化された報道がなされている。

全くもって、看過できない!

安部総理は着々と「続・安全神話」を創り出そうとしている。

このことにメディアは気づいていながら、順調なアベノミクス政策、高い内閣支持率、安部総理に対するポジティヴな世論、などの顔色をうかがって、権力に寄りかかった報道しかしない。

いつの間にかに、「原子力って安全らしいよね〜」「原発問題ってもうどうでもよくない?景気いいし。」みたいな風潮、世論が形成されてしまう恐れがある。
なし崩し的に、原子力発電所が再稼働し、また世界中に原子力発電所を拡散させる。

経済成長と原子力分野の推進をミックスさせて報道していたら、注意すべきだ。
今はどこの民放も、NHKも、新聞も、安部政権に何も意味をなしていない。
第三の権力である、メディアでさえ、萎縮してしまい、全く原発問題においては機能できていない。

言論が萎縮し、横並びの発表報道だけが流れ、いつの間にか、人々は忘れてしまう。
忘れてからは、もちろん当事者意識は生まれず、無関心になる、あるいは、報道のままに受け止めてしまう。

これでは、いつまでたっても国民単位でのリスク管理の議論はできない!



安部総理がよく言う、
原発事故が起きた日本だからこそ、より安全で、より信頼できる、原子力発電所を作ることができる」

この言葉は、おそらく、"失敗は成功のもと"的発想で、こんな馬鹿げたことを言っている。

それならば、その"失敗"の分析、解明、(二度と同じことはしないといった)廃止を含めた対策を、政府が打ち出してから、それを国民が合意して初めて、"失敗は成功のもと"になり得るのだ。

今のままいくと、
あー、失敗しちゃったー
まあ、次がんばろ。
(なんで失敗したんだろう?)


あー、また失敗しちゃったー
まあ、次がんばろ。
(なんで失敗したんだろう?)

………という馬鹿のループである。


今やってることは、安部総理は責任は取れるのだろうか。
もしも、トルコで地震が起きて、日本が輸出した原発が福島のような大事件が起きたら、安部総理は釈明できるのだろうか、いやできない。


それに加えて、海外に原子力発電所を輸出したという功績を引っさげて、安倍総理は国内にも原子力発電所の安全性を訴えかける時がくるだろう。

40年後、全基廃炉に向かうことも撤回され、原子力エネルギーは存続する。

その時には、福島原発事故跡地にモニュメントが作られ、観光名所となり、その問題の本質はセメントに塗り潰され、歪曲したイデオロギーが世の人々の中に息づくだろう。



安部総理は確信犯だ。
安部総理は爆弾魔だ。


これは扇動的な表現ではない。
きっといつか、こう評される時はくるだろう。


こう話しているのは、アベノミクスの足を引っ張ろうとか、安部政権の邪魔をしたい、とかそういう意見ではない。
アベノミクスは応援はしている。安部政権の機動性には一部評価もできる。

しかし、原発問題に関しては、譲れない。


どうか、経済成長の中に原子力分野の海外協力を組み込まないでほしい。

東北の方々や原発を望まない人々の声を聞いてほしい。




14歳からの原発問題 (14歳の世渡り術)

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徹底検証!福島原発事故 何が問題だったのか: 4事故調報告書の比較分析から見えてきたこと

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「原発事故報告書」の真実とウソ (文春新書)

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ひらくの漫画を開け!【ドリフターズ/平野耕太】

ドリフターズ平野耕太

この漫画のすごい所は、何と言っても
“わくわく感”
の一言に尽きてしまうかもしれない。
作者の平野耕太氏は、代表作としてヘルシングがあるが、それにも劣らないクオリティの漫画になり得るだろう。
僕がこの作者で一番素晴らしいと思う所は、登場キャラクターを生かしきっている、まるで「そこ」にいるような臨場感をキャラクターにもたせている、所にあると考える。
だからこそ、読み進めるというよりはむしろ、空からその世界を覗き込んでいるような感覚を与えてくれる。
ゆえに、
わくわくする。
ドキドキする。
ハラハラする。
うるうるっとくる。

そんな気持ちをさせるような漫画は、そうあるものじゃないし、そうさせる漫画は十中八九“おもしろい”漫画だ。

世の中の漫画読みの中に、平野耕太という漫画家を知らない人も実は結構いる。

そういう人にいつも僕が人に勧めるのは、この漫画「ドリフターズ」であり、「ヘルシング」である。

まだどちらも読んでいないという方は、是非古本屋で一度手にとって立ち読みしてみてください。きっといつの間にか、カゴにその漫画積んでレジに向かっていると思います笑


さて、本題の「ドリフターズ」のあらすじを紹介したいと思います。

が、現段階ではまだ3巻しか出ていないので、世界観と主な主人公の紹介をします^ ^
まず漫画の始まりはこうだ。(wikiを参考に)
関ヶ原の戦いの最中、島津の退き口の殿軍を務めた島津豊久は、追撃に来た敵将に手傷を負わせるも、首を取れずに逃げられてしまう。死に花を咲かせられず重傷を負い、失意のままに山中を放浪していた豊久は突如異界へ足を踏み入れる。そこには左右に様々な扉が並んだ果てしない通路と、その真ん中に置かれた机を前にした謎の男性。事態を飲み込めないまま豊久は誰何する間もなく扉の1つに吸い込まれ、何処とも知れぬ地に流れ着く。
豊久が流れ着いた世界はエルフオークのいる異世界であり、豊久は彼と同様に流れ付いた織田信長那須与一と出会う。彼らは「漂流者(ドリフターズ)」と呼ばれ、何故この世界にやってきたかも分からないまま、豊久らは、人間族の国であるオルテ帝国の支配下で農奴としてあえぐエルフの村を蜂起させ国奪りを始める。
一方、北方では黒王率いる亜人の軍勢が、人類を絶滅させるべく行動を起こしていた。軍を率いる者達は、漂流者と同じくEASYによって現実世界から連れてこられた者たちで「廃棄物(エンズ)」と呼ばれていた。そして黒王軍を倒し人類を救うため、「十月機関(オクト)」なる導師結社が漂流者を捜索・集結させ、各国に呼びかけ共に黒王軍を迎え撃とうとしていた。
かくして
世界は各地の紛争・反乱により滅びの道を歩むオルテ帝国、
人類を絶滅させるべく進軍する黒王軍
黒王軍から人類を護るべく各国に協力を求める十月機関
国の奪還・再建を目指す豊久たち率いるエルフ軍により混乱の一途を辿る事となる。
とまあ、ここからさらに、歴史上の偉人、変人、古今東西、日本も世界もぜーんぶのキャラクターが登場してくる!

きっと、歴史好きな方や、世界史好き、日本史好きな方はたまらない作品だろう。僕もそうです。笑

とにかくもう、読んでほしい!笑

物語はまだ始まったばかり、一緒にこの「ドリフターズ」でわくわくしましょう!

(個人的には「ヘルシング」も超お勧めです)

ドリフターズ 1 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 1 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 3 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 3 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 2 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 2 (ヤングキングコミックス)

HELLSING 全10巻 完結セット (ヤングキングコミックス)

HELLSING 全10巻 完結セット (ヤングキングコミックス)




ひらくの漫画を開け!【惡の華/押見修造】

好きな女子の体操着を盗んでしまった中学2年生の春日高男(かすが・たかお)は、それを見ていた同級生の女のコ・仲村佐和(なかむら・さわ)から“契約”を迫られ、次々と変態的な行為に手を染めていく……。こんな背徳的な内容が話題を呼び、今月からアニメもスタートすることになったマンガ『惡の華』。作者の押見修造は、思春期のモヤモヤや“こじらせ”を徹底的に描ききる「青春マンガの名手」として、今、注目を浴びている。


私がこの漫画の突出すべきのは、中村佐和というキャラクターだ。

この漫画を読んでいく中で中村佐和は"一見"斜に構えた態度で周りの同級生や先生に対して見下している。現実の社会のつまらなさ、刺激のない日々、すべてが同調圧力の中の出来事、何もない、空っぽな世界、青春期のどうしようもない厭世観を持っている。
この物語での一つのキーワードである「変態」。この言葉を中村佐和、春日高男は度々用いる。

この「変態」という言葉が意味するものは、社会から抜け出よう、一種の社会脱出するための合言葉である。

なぜ中村佐和は「変態」になりたいのか?
なぜ春日を変態にさせたいのか?

それを考えていくと、
それは中村佐和が特別な人間ではないから。つまり、中村佐和はどこにでもいる人間、取るに足らない人間だからである。

中村佐和の一番の特徴は、そのことを一番自覚しているということである。
その点、春日高男とも共通する。

自分が普通であるから、変態でありたい。
普通な自分は認めたくない、特別な人間だ。
と、思えば思うほど、どうしようもなく自分が嫌で、その矛先を社会に向けてしまう。そういう中村佐和の心が読み取れる。

中村佐和というキャラクターは、それだからこそ魅力的だ。

設定はあくまでも、基本ベタな話である。笑


押見修造ファンとしては、惡の華の前に、
漂流ネットカフェ
ユウタイノヴァ
を読んでもらえたら、押見修造の漫画のスタイルがもっとわかると思う。
ぼくは麻理のなか(1) (アクションコミックス)

ぼくは麻理のなか(1) (アクションコミックス)

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

スイートプールサイド (少年マガジンコミックス)

スイートプールサイド (少年マガジンコミックス)

惡の華(1) (少年マガジンKC)

惡の華(1) (少年マガジンKC)

惡の華(7) (講談社コミックス)

惡の華(7) (講談社コミックス)

漂流ネットカフェ 1 (アクションコミックス)

漂流ネットカフェ 1 (アクションコミックス)

惡の華(5) (講談社コミックス)

惡の華(5) (講談社コミックス)

惡の華(2) (少年マガジンコミックス)

惡の華(2) (少年マガジンコミックス)

惡の華(4) (少年マガジンコミックス)

惡の華(4) (少年マガジンコミックス)

惡の華(6) (講談社コミックス)

惡の華(6) (講談社コミックス)

惡の華(3) (少年マガジンコミックス)

惡の華(3) (少年マガジンコミックス)

ユウタイノヴァ(2) (ヤングマガジンコミックス)

ユウタイノヴァ(2) (ヤングマガジンコミックス)

ひらくの漫画を開け!【「臏 〜孫子異伝〜」星野浩字】

「臏 〜孫子異伝〜」星野浩字
画像1

あらすじ(ウィキペディア引用)


古今の名将に影響を与えた書・『孫子兵法』。それを著した「孫子」と呼ばれる男は2人いるのだ。一人は『孫子兵法』を著した孫武。もう一人の「孫子」は名を孫臏という。群雄が割拠する戦国時代の真っ最中にあった紀元前360年頃の中国。顔に墨を入れ、膝の骨を抜かれた異形の軍師・孫臏はその乱世を駆け抜けてゆく。


とまあ、戦国モノの漫画である。笑

この手の漫画で最近勢いのあるのは「キングダム」ですよね。
画像1


しかし、この漫画はキングダムとは違って、戦争や戦闘に重点を置いていない点が面白い。
主人公は、将軍や勇敢な兵士ではない、軍師を主人公にしていることにこの漫画の独自性はある。軍師が膝の骨を抜かれた主人公であるので、戦闘はできず、あらゆる戦略、知略、策略に特化している。
主人公、孫ビンは希代の策略家、孫子の末裔として描かれている
。故に、孫子兵法をストーリーの所どころに散りばめている。


現時点(2013年4月26日)までの大筋の話は、
1巻は主に孫ビンの凄さ、モテ男の紹介、
2巻以降は、
将軍デンキや狄国の女シンフェンとの出会い
斉国、魏国(ライバルホウケン)、狄国の関係性、
クーフェンツなる最強部隊の躍動(これまたキャラが立ってて良い)
狄国襲来、狄国との戦争
シンフェンの葛藤
狄国の将軍ゼンウの過去(敵キャラゼンウがイカれててクレイジーだぜ!)

と続くわけだが、詳細は手にとって読んで欲しい!笑
この漫画は買って損はしないはず!騙されたと思って買ってみて欲しい。


戦争に向かう、一兵士一兵士の心情の描き方、登場してくるキャラの漢気の良さ、葛藤するシンフェンの様子、というようなヒューマンドラマ的要素がとても素晴らしく、何度も感動して泣いてしまった。

また、孫ビンが繰り出す戦略やクーフェンツの躍動は痛快!だが、うまくいかない時もある。それは相手、狄国将軍ゼンウがいい感じでイかれてることに起因している。ゼンウのクレイジーさ、クレバーさ、彼の過去など、魅力あるキャラだ。本当に。
もし、このゼンウというキャラがいなかったら、この漫画はありきたりな英雄漫画になっていただろう。

連載中であるので、ネタバレになる危険性もあって、大雑把にしか言えないのが歯がゆい!



しかし、この漫画のすごい所はまだある!

この星野浩字という漫画家は、
末恐ろしいストーリーテラーであるということだ!
12巻の巻末に、作者が語った内容として、今連載している「ビン孫子異伝」は"クーフェンツ"の物語の一部に過ぎないと言っている。
つまり、

"クーフェンツ"という物語は全七章構成であり、ビン孫子異伝はその第五章を描いているだけだ。
なぜ五章から書いたのかといえば、青年誌で連載をとるためには、三十代の読者層向けに主人公を大人にすることを編集から求められたためとしている。
初連載のペーペーの漫画家が編集に抵抗できるはずもなく、本来はクーフェンツというタイトルで第一章から書きたかったのだという。

作者本人も青年誌向きというより、少年誌向きの絵であると認めている。

この星野浩字という漫画家は、まだまだ底が知れない。キングダムのような華やかさはないが、これほど綿密なストーリーを構成できる人間はそうはいない。

一読の価値あり。

作品と作者に敬意と応援を込めて。

ビン 〜孫子異伝〜 13 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 13 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 1 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 1 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 12 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 12 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 11 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 11 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 9 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 9 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 10 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 10 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 2 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 2 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 3 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 3 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 8 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 8 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 4 (ジャンプコミックスデラックス)

ビン 〜孫子異伝〜 4 (ジャンプコミックスデラックス)



ひらくの漫画を開け!【うみべの女の子/浅野いにお】



やっと、うみべの女の子入手し、読んだ。しかし、どことなく磯辺に共感を得てしまってキツイ。
小梅はとっても純粋な女の子だったわけで、肉体的な漆黒と精神的な純白は共存するんだなあと。
僕なりに二人のラストを簡単にバラすとするならば、
磯辺には「恋と罰」が、

小梅には「哀と悔い」が、

という印象。


磯辺の自己防衛の意識は凄まじいよね、これも思春期特有の思い込みによるものだと思う。
小梅が最後磯辺に告白する時のあの描き方は秀逸だった!詞と一コマ一コマの心象風景の連続、小梅が泣き崩れるシーンはすごい!さすがいにおといったところやね!

もーね、小梅の磯辺が変わってしまった、もう違う磯辺になってしまったけど、どうしようもなく好きで、でも断られた時のあの喪失感は初恋(かはわからんけど)特有の感じよね〜。当たり前の時に、当たり前の場所に、その人がいなくなる、っていう堪え難い悲しさ。



「いにを節」炸裂の漫画だぅた。
鹿島のようなタイプの人間だとこの話は理解しにくいと想像したり、評価は分かれる作品だとおもう。しかし、一読の価値あり!

うみべの女の子 1 (F×COMICS)

うみべの女の子 1 (F×COMICS)

うみべの女の子 2 (F×コミックス)

うみべの女の子 2 (F×コミックス)

4/27朝まで生テレビの裏番組オールナイトニッポン0で宇野常寛が語ったこと。


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大学在学中にウェブサイト「惑星開発委員会」を立ち上げ、オタク系文化などのサブカルチャー〜ポップカルチャー批評およびその他の活動を行う。
惑星開発委員会」は1年ほどしてメンバーの卒業などからいったん解散するが、大学卒業後、会社員をしながら2005年に「第二次惑星開発委員会」を立ち上げ、2ミニコミ誌『PLANETS』を発刊。
デビュー評論『ゼロ年代の想像力――「失われた10年」の向こう側』、その後『ゼロ年代の想像力』など、執筆。
ガンダム、戦隊シリーズ、仮面ライダー、AKB48、などをこよなく愛している。推しメンは横山由依。宇野曰く、「横山由依は『世界の真実』だ」



そんな尊敬する宇野常寛さんがやっている、
宇野常寛オールナイトニッポン』(2013年4月26日放送)
が、とても面白かった。


宇野氏がラジオ冒頭で、「朝まで生テレビ」にネット世代の論客が出ていることに触れ、語ったものを書き起こしたものをまずご覧になってもらいたい。一部省略。


宇野:「今日の朝生は「わかっている人には既にわかっていることを確認するためだけの番組」それでも、荻上(チキ)とか津田さんとか、堀江さんとか、駒崎さんとか、が朝生を占拠したという事実はとても意味のあるものだ、と思うんです。
マスコミを信じてきた世代は、戦後社会を生きてきたおじいちゃんおばあちゃん、あるいは50代以上のおじさんおばさん世代で、インターネットを支持している若者とでは、見てる人間も世界観も違うし、やり方も違う。見てる風景が全然違う。だから、お互い相入れない。
でも、将来的にこれから、みんなが茶の間に集まってテレビのバラエティ番組とか歌番組とかを見て、一つの話題をみんなで受け取って、なんとなく世間が作られるテレビや新聞で報じられているニュースが、日本社会なんだ、と、テレビや新聞が世間を作ることはあり得ないと僕は思うんですよ。もう価値観もバラバラだし、好きなものもバラバラだし、世の中どんどん多様化しているんだから、インターネットが力をもってくるのは仕方ないことなんですよ。その上でどういう世の中を作っていくのかということを本来ね、考えなきゃいけないっていうことは自明のことなんですよね。
 インターネットとかわからない高齢者の人達とか、ずっとマスコミで働いてきたプライドを持っている人とかはそういったことがわからないし、わかりたくないから、すごく対立が起こりやすいんですよ。だから、僕たちは「インターネットで新しい仕組みができました!新しいやり方ができました!これならこんなに自由になりました!」っていう話はもういいんじゃないかなと思うわけですよ。若手論客が出ているというのは、新しい時代がきましたっていうアイコンになるから良いと思うんですけど、議論の中身としては、わかる人にはわかっていることなので、それを上の世代にね、説得するっていうのはむつかしいんですよ。だって、人間、これが合理的だからって動くわけじゃないじゃないですか?基本的にね。なので、もう、成果を見せていくしかないと思うんですよ。「インターネットという新しい武器を僕らが手にいれました。その結果、こんな面白いものを生み出しました」、と。「今のマスコミにはできない、こんなことをやってます。」という、成果物を見せていくことで初めて、未だに新聞やテレビを信じているおじさんやおばさんたちに、わくわくさせる、どきどきさせることで、ちょっと味方になってもらうコミュニケーションが僕有効だと思うんですよね。
なので、もうそろそろ仕組みの話はいいんじゃないかと、中身の話に移っていくタイミングじゃないかと、思います。
インターネットという武器を持った僕たちが、マスメディアでできないようなものを生み出していくことが重要。
例えば、政治勢力でいうと、「左翼じゃないリベラルというもの」。
単純化していうと、
戦後の日本を温存しようという、右だと、自民党で、
左だと、もうほとんどつぶれちゃってるけど、共産党社民党とか、未来の党とかになっちゃう。
構造改革をして、日本を新しくしようというので、ちょっと右翼っぽい、タカ派っぽいでいうと、維新の会。
そこで、ぽっかり空いているのが、最近まで民主党がその座を占めていたんだけど、ボコボコに崩壊しちゃった、これから、新しく日本を作り変えて行こう、もっと自由化とかしよう、という所がぽっかり空いちゃってるんですよ。もっと言うと、左翼じゃないリベラルっていうのがココなんですよね。ほら、昔の左翼って、マーケットとか情報社会、消費社会とか聞くと、それは人間性を阻害するものだとか言って、なんとなく悪いものだとしちゃうわけですよ。「お金儲け=悪」「消費社会=悪」「情報社会=悪」、とかなっちゃうんですよね。でも、そんなこともうないんですよ。現実的に考えて。
経済成長も大事だし、安全保障も現実的な議論をしてもいいし、規制緩和も必要な分だけやりましょう、是々非々で考えるような、ね、そういった新しいリベラルがあってもいいと思うんです。
いわゆる、昔の左翼じゃない、そういったものとは全く切れてしまった、リベラルというものがインターネット上に生まれる。それは昔の戦後的な体制に染まっているマスメディアとかテレビや新聞がやれてこなかったことなんですよね。で、そういったことをやっていって始めて、上の世代にも、「あっ、インターネットっていうのは単に仕組みが、新しいだけじゃなくて、世の中を、変える力があるんだ」と。
「新しい仕組みがあれば、新しい成果物が生まれるんだ」と。
「新しい酒は新しい皮袋に」とは、逆バージョンで
「新しい皮袋があるからこそ、新しい酒が生まれるんだ」っていうことを気づかせて初めて、説得できたり、魅せることがてきるんだと思うんですよ、
それで  、
  オールドメディア対ニューメディア、
マスメディア対ソーシャルメディア、
マスコミ対インターネットの対立みたいなものは終止符が打たれる、というか、一つの答えがでるのかなぁなんて思ったりもするんですよね。」




とまあ、読んでいただけたでしょうか?



要するに、ネット世代が朝生を占拠したことはとても意味があるものとして捉えていて、そこから、世代間の断絶(社会の見え方、考え方、信じているもの)の隔たりをどう埋めていったらいいのか、ということを考察していた。これから、必要なことは、離れた世代が拳と拳を正面衝突させて、議論するようなものではなく、ネット世代がインターネットという新しい仕組みの中でできた成果物を提示して、それで離れた世代の人達を味方につけていこう、という工夫をすることが大事ではないかと、宇野さんは提案している。



すごく同感した。
新しい仕組みや概念を上の世代に伝えようとしても、なかなかわかってもらえない。だったら、結果を見せつけることしか、理解を得られる方法はない。

サッカークラブで、こんな施設を用意しました、こんなトレーニングメニューを導入してます、一流の監督やコーチを雇いました、といってるだけでは、そのサッカーチームが良いか悪いかは判断できない。やはり、試合で点を決める選手がいるか、鉄壁の守備をする選手がいるか、やはりその中の選手が結果を残さないと、そのサッカークラブや選手達は評価はされない、ことと同じですよね。

やはり、これからを担う「選手」「プレイヤー」である、私たち世代が、結果を出していかなければならない。上の世代を巻き込んでいくために。この日本社会全体のために。

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4月27日の「朝まで生テレビ」ネット世代の頭の中を覗いてみよう。

2013年4月27日の「朝まで生テレビ」!
~激論!ネット世代が日本を変える?!~
以下出演者
飯田泰之荻上チキ、乙武洋匡、駒崎弘樹、慎泰俊、津田大介、経沢香保子、TOKYOPANDA、古市憲寿、堀江貴文堀潤田原総一朗

まず驚いたのは、

オープニングコールで、「以前まで政治に無関心とされていた"ネット世代"そして、ネット世代の論客を集めて徹底討論をします!」と紹介された。

おいおいちょっと待ってくれよ〜

「ネット世代は政治に無関心」というフレーズは、一つの偏見であり、メディアが世間に押し付けたイメージだ。

その証明として、今最も信頼性のある言葉を持っているのは、紛れもなくネット世代の人間である。
 そして、僕ら世代は、ネット世代の中でもデジタルネイティブに属する。

ネット世代は政治に無関心などではなく、政治に関する情報にふれ続けてきたため、少し"うんざり"してただけ。

決して政治に無関心などではない。


旧来の政治体制、メディアの作ったステレオタイプの注入が悪いのであって、ネット世代が悪いのではない。

今、ネット世代は冷静に着実に社会を、政治を、経済、文化などあらゆる積み残された課題を一つ一つ分析している段階。

団塊世代は衝動に従い、反骨精神で国の骨組みは作ってきた、そしてその中でずうっとその権益を守ってきた。でも、社会は変わる。
守るだけでは、なりゆかない時代に入った。
新日本の時代はこれから、ネット世代が新たな価値観で創り出していく。その展望が随所に見えた放送だった。




討論の中で私が気になった発言をピックアップしていく。覚えている限り(笑)


【憲法改正や天皇制の件の流れで】
堀江貴文は憲法の第1章が天皇からはじまるのか疑問も呈した。

 堀江貴文、「現代日本における天皇の立ち位置が、戦争を経験していない、戦争を経験した両親を持たない世代の僕らにとっては、違和感がある。」というようなことを言及。

これは共感できる。

彼は、天皇自体を否定しているのではなく、天皇が国家のあり方を定める憲法に明記されているのは、戦後直後の国をまとめるという役割のもとで大いに天皇の後光を以て成し遂げられた。が、その役目は既に果たし切り、これからの日本を考える上で、天皇が国家の根っこの部分に居続ける意義は薄れているのは事実であるという指摘をしたと私は解釈した。

【ネットメディアとマスメディアの話】
現在のメディアについて議論。堀江貴文は新聞は広告が多い、一番不満なのは意見がぬるいこと。田原総一朗は今の新聞は発表報道で批判・分析がない、慎泰俊はエコノミストの例を出し日本は質が低いと話した。

またまた堀江さんの発言、「池上彰がすごいと言われている、この社会はつまらない」

その真意は、池上彰はジャーナリストとしての"ジャーナリズム軸"が明確であり、彼は彼の仕事をしているまでなのに、他のメディア人が曖昧な立ち位置でぬるい発言をしているから、そうした池上彰がすごいと言っている社会はつまらない。ということだ

また、駒崎弘樹は「学生運動世代は悪い権力に対して主張できた。しかし、我々の世代は自分たちで解決策を作ることが課せられている」「マスメディアの悪口・批判・ディスるはもういい」と語った。

飯田泰之は「ネットの世界はマイナーであることが結束力を強くしている」と話した。

堀江貴文は「ネットは今ではメジャーである、津田大介のメールマガジンの読者が多いのはわかるが顔出しもしていない人のメールマガジンが5000人の読者がいることが驚異的だ」と話した。「今はパラダイムチェンジが起きていてクリエイターで才能がある人がネットの普及によりデビューすることができるようになった」と語った。

乙武洋匡は「ツイッターなどネットは既存メディアでは出ていない情報が見られることがおもしろい。しかし都知事選の時にネットの論調と違い石原氏が当選したことでネットは世論の一部であると痛感した」と話した。

荻上チキは「ネットのコンテンツの魅力はメディアで取り上げていない人を取り上げていること。テレビはタイムラグがある、時間の制約や空気の読める人を出している」と語った。

【ネットの今後についての視聴者からの意見について】
荻上チキは<u>差別の問題</u>は10年後も残ると話した。

乙武洋匡は「(Twitterをはじめてから、よくわからない暴言や罵倒をされるようになったことに触れ)今ツイッターなどネットが一般に近づいた」と話した。


【若者は国に何を期待し諦めるべきかという視聴者からの意見について】
古市憲寿は「自分の子どもを持つようになるとと国について考えるようになる」と話したが、
堀江貴文は個人差はあると反論した。

駒崎弘樹は「子どもや未来への投資に再配分してほしい」と求めた。それがされないのは高齢者の投票率があるという。




慎泰俊がカンボジアなどで信用組合に投資しているなど自身の仕事内容を説明した。その投資のやり方は、メルマガなどと本質的に似ていてインターネットのお陰でコストが下がり少しずつお金を出す人が増えている、クラウドファンディングで児童養護施設に寄付も行なっていると話した。
田原総一朗は「投資ではないボランティアの仕事をなぜやるのか」と聞くと、
慎泰俊は「絵を描きたい人が絵を書くのと同様に寄付を行なっている」と答えた。

つまり、社会に自分をどう貢献したいかを考えた上で、やりたいことをやっている、したいようにしているだけだ。ということ。
これがネット世代からの意識の変化の部分だと思う。
利益追求ではなく、自己実現欲に従って自分を表現する。
ある意味、ネット世代皆がクリエイター精神を強く潜在的に持っているということだ。



ネット世代は今の日本では、マイノリティである。
しかし、将来、そのマイノリティがマジョリティになる時代は必ずくる。その時に、僕らネット世代が今までの積み残された課題分析を行動に移し、国の新たな価値観を創出していくだろう。

そうなる未来は遠くはない。

絶望の国の幸福な若者たち

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彼女たちの売春(ワリキリ) 社会からの斥力、出会い系の引力

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飯田のミクロ 新しい経済学の教科書1 (光文社新書)

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刑務所なう。

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徹底討論!ニッポンのジレンマ

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ウェブで政治を動かす! (朝日新書)

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「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方 (ちくま文庫)

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働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)

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