『藁の楯』と『暗殺教室』が売れてしまっていることへの個人的違和感。
映画『藁の楯』が全国ロードショーされ、大ヒットしている。
漫画『暗殺教室』も大人気漫画になっている。
ふと、思う。
この二つの作品の共通点は、誰かを殺せばお金が発生する。つまりは、「人の命が金になる」価値観を全面に打ち出され、作品の世界観が構成されている。
藁の盾では、清丸という殺人犯の命に10億の懸賞金が。
暗殺教室では、殺せんせーという宇宙人に100億の懸賞金が。
作品のジャンルの違いはあれど、ある特定の個人を殺してしまえばお金がもらえる、という設定の部分では一致している。
こういう設定がどこか血が沸き立つような高揚感、スリル、背徳的な感情、が生まれて興奮してしまうことは理解できる。
しかし、どうだろう。
どこかこの手の作品は、どうも深みがなく、汚さ、濁り、不快な思いもまた同居する。
少し感じは違うが、映画『悪の教典』も、人を殺すシーンが度々ある。そこにも、似たような気持ちが湧いてくる。
いつの間に、人を殺すことが「エンターテイメント」の一部となって、僕らの心に住み着いてしまったのか。
僕の中で遡って考えてみたら、昔流行った「バトルロワイヤル」がこの流れのきっかけじゃないかと思う。
まあ、フィクションだから、現実ではそうはならないよ、区別ぐらいできるし、それができないような人間の方が理解力ないよ、みたいな意見もあるけれど、
僕は、そういう表層的な問題でもない気がする。
一度そういう、人を殺すことへの、妙な免疫がついてしまうと、人を殺すことが自分の中のオプションの一つになりそうな気がしてならない。
表現として、人の命をお金にしてしまうことはままあることだが、それはそれで良いのだけれど、それがこの国で「売れてしまっている」現実は少々怖いなと思ってしまう。
本来、人殺しは理性や倫理観で抑制されていることであるが、本能的、情緒的な部分で引き起こされてしまう。
多くの人達は、人を殺さずに一生を終える、それは人を殺すフィクション、物語が作り出され、あるいは、それを見たり、聞いたりすることで、人を殺したいという衝動を発散させているから、ということもある。しかしながら、ここ最近、あまりにもその表現物が溢れかえっているような気がする。
そういう環境にいると、どこか人を殺すことへのハードルが低くなってきやしないか。
というより、それを縛る倫理観や知性が緩くなってしまうんじゃないか。
なんかこの手の作品は、売れる作品ではあっては本来ならないのではないかと思う。
任侠映画とか、戦争映画とか、非日常的なシチュエーションならば、理解はできる。
でも、
「日常の中に潜り込んだ殺し」の作品を好きな人間が大多数になってしまう世の中は果たして健全なのか、と。
まあ、時代が変わったといえば、それまでなのだろうけど、、、
どうも、深層の部分に「人を殺す」選択肢が大衆に根付いてしまってるような危うさを思ってしまう。
やっぱ、頭固いのかな、自分。
皆さんはどう思われますか?
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